8月10日に雑司ヶ谷「エル・チョクロ」で開催された「サウダージ・ジャポニカ〜八月の記憶」ライヴ、たくさんのお客様の熱気に包まれて終了いたしました。
暑い中、いらしていただいたお客様、本当にありがとうございました!
八月、といえば夏休み、バカンス、というイメージもあれば、お祭り、お盆、祖先との語らい、そして、もちろん原爆、終戦があり、1年のうちでも特別な月です。
「サウダージ(郷愁)・ジャポニカ」のメンバー(沢田穣治、伊左治直、新美桂子、桑鶴麻氣子、そして廻 由美子)は、それぞれが過ごしてきた子供時代の記憶、終戦、今世界中が抱えている問題、全てにアンテナを張り、交差させていきました。
冒頭に朗読された石垣りんの詩は、終戦近く、サイパン島で崖から次々に身を投げた女たちを詠んでいます。
朗読が始まった途端、客席は異常な静けさに包まれました。
客席から、「八月だ」という沈黙の声が聞こえてくるようだったのです。
そこからはメンバー全員が海の上にスルスルと出ていきました。演奏はいつでも、見知らぬ海での航海です。
それぞれの目に映る景色は角度によっても違うし、人生経験によっても違うわけですが、お互いの「生命」を感じ合いながら、同じ波と時空を共有していく、という感覚がメンバーに生じ、ライヴを成立させていきます。
波間から時折聞こえてくる沖縄のメロディ、自然界の音たち、遠い祖先の声、未来の子供達の声。
そして、最後の森田童子「愛情練習〜ロシアン・ルーレット」では、即興で爆弾や悲鳴のような音が飛び交い、全員がエネルギーを爆発させて「八月」を表出しました。
アンコールは沢田穣治さんの作った「君がため」。
古今和歌集からとった美しい歌で、平安時代からの空気を現代に呼び込み、静かに静かに幕を閉じました。
終演後、エル・チョクロのオーナーからすぐに次回のオファーをいただきました!
「サウダージ・ジャポニカ」メンバー
人気ユニット「ショーロ・クラブ」を中心にあらゆる方面で活躍する沢田穣治(コントラバス・作曲)、オーケストラ作品のみならず、ブラジル音楽や昭和歌謡のライヴも活発な作曲家・伊左治直(作曲・鳴り物、鍵盤)、そして廻 由美子(ピアノ・アレンジ)の3人を中心に、新美桂子(歌・朗読)、桑鶴麻氣子(朗読)の2人をフロントに配し綴る音絵巻!
廻 由美子 記
2024年8月12日
廻 由美子オフィシャルサイト